てんさい糖って何?上白糖やグラニュー糖との違いは? 嬉しい効果も徹底解明!
てんさい糖(甜菜糖)とは
てんさい糖、上白糖、グラニュー糖、三温糖、黒糖に和三盆などなど。スーパーに行くだけでも沢山の種類がある糖分。食生活豊かな日本文化の現れでもありますが、皆さんはそれぞれの違いってご存知ですか?
近年、健康志向の高まりで人気があるてんさい糖。
でもあまりご存知ない方や誤解が多いのも実情です。
今回はてんさい糖のあれこれや上白糖やグラニュー糖との違い、てんさい糖の製造方法や嬉しい効果などなど。てんさい糖について知って頂きたくてできる限りの情報をまとめてみました。
ぜひ最後までご覧ください!
Contents / 目次
てんさい糖って何?
てんさい糖の原料はてんさい(甜菜)やビートと呼ばれるヒユ科の植物で、見た目が大根に似ていることから、別名サトウダイコンとも呼ばれています。
見た目や名前から間違えられやすいのですが、てんさいは日本では北海道でだけ作られている植物で、てんさいと大根は品種が全く違います。てんさい1個は約1kg。1個のてんさいから約170gのてんさい糖が出来上がります。
てんさいが好きなのは寒い所
てんさいの原産地はヨーロッパ。寒冷地に育つ作物です。日本では北海道でしか育てることができません。国内の他の地域で育てる試みもされたのですが、残念ながら北海道以外ではてんさいは育ちませんでした。寒い所でしか育たないてんさい。沖縄や奄美諸島などの暖かい地域で栽培されるサトウキビとは真逆です。
てんさい糖の製造方法
てんさいには糖分と糖分以外の物が含まれるので、糖分を抽出しながらてんさい糖に精製していきます。
まずてんさいを洗ってスティック状に切り、70℃程度の温水で糖分を取り出します。この時に分けられた糖分以外の繊維質などは家畜の飼料として活用されます。
その後不純物を取り除き、煮詰めて遠心分離機で結晶と蜜に分けます。蜜の部分がてんさい糖に、結晶部分が白いグラニュー糖や上白糖になります。
てん菜糖と上白糖やグラニュー糖はどう違うの?
てんさい糖や上白糖にグラニュー糖、三温糖、きび砂糖などなど。色んな名前の糖分が販売されていてややこしいですよね。ぱっと見ただけでは違いもよく分かりません。
ここではそれぞれの違いをまとめます。
大きく『原材料の違い』と『精製方法の違い』に分けると分かりやすいのでぜひご覧ください。
原材料の違い。
まず、一般的に『てんさい糖』と呼ばれている茶色い糖は寒冷地で栽培される『てんさい(甜菜)』が原料です。対して一般的に『白砂糖』や『グラニュー糖』と呼ばれている糖は暖かい地域で栽培される『サトウキビ』が原料です。
最近、身体に良い砂糖として見かける『きび砂糖』や『三温糖』『黒糖』もさとうきび原料なので通常の白砂糖やグラニュー糖と原料は同じです。
ちなみに高級和菓子などに使われる和三盆は四国で取れる『竹糖』という植物が原料です。これは通常のサトウキビより細くて小さいのですがサトウキビの一種です。
まずは、てんさい・サトウキビと原材料が違う!と覚えて下さい。
精製方法の違い。
原料が違うのは分かったけど、三温糖やグラニュー糖などの違いは分からないですよね。
これは原料ではなく、精製方法の違いで呼び方が分かれています。
まず、グラニュー糖や上白糖などの白い砂糖は、原料から不純物を最大限取り除いた純粋な『糖』です。なのでミネラル分などの成分は入っていないのですが、『グラニュー糖』や『上白糖』という呼び方は精製方法の違いなので、実はてんさい由来の上白糖やグラニュー糖もあるんです。
一部地域でのみ販売されているので、一般のスーパーなどで売られている物はほぼサトウキビ由来の『グラニュー糖』や『上白糖』ですが、てんさい由来の物もあります。
ちなみに三温糖はその名のとおり「砂糖を三回煮詰めて作る糖」で、白砂糖にする過程で煮詰めた時に砂糖の結晶と蜜が出来上がります。このうち三温糖は蜜を原料としています。三温糖のカラメル色は煮詰めた色で、サトウキビの色ではありません。
黒糖も同じくサトウキビ由来で、サトウキビの搾り汁をそのまま煮詰めてできた糖です。
結晶と蜜に分離しない所が三温糖とは異なります。
こんな風に原料を煮詰めていき、砂糖の結晶だけにした物は『分蜜糖』と呼ばれ、グラニュー糖や上白糖がこれに当たります。結晶と蜜を分離させずにそのまま結晶化した物は『含蜜糖』と呼ばれ、黒糖やキビ砂糖、そしててんさい糖がこれに当たります。
糖分は原材料と精製方法の違いで呼び方が変わる!と覚えて下さい。
原料糖の産地の違い
グラニュー糖や上白糖、てんさい糖と呼び方が分かれる理由は分かりましたが、最後にてんさいとサトウキビの大きな違いがあるんです。それは国産原料か輸入原料かの違いです。
国内のてんさいの産地は北海道だけで、サトウキビは沖縄と鹿児島県です。てんさいもサトウキビも収穫した後すぐに加工する必要があるのですが、特にサトウキビ原料の砂糖は国産のサトウキビではほとんどまかなえていません。
日本で消費される砂糖は年間約210万トン。
このうち、てんさい糖の消費量は全体の約32%程度なのですが、その8割が国産てんさいを使用しています。
対してサトウキビは消費量の約20%が国産のサトウキビ、8割をブラジルやタイなどの暑い地域からの輸入糖に頼っています。【農林水産省ホームページより】
てんさい糖・上白糖・グラニュー糖の成分比較
原料や精製方法の違いで呼び方が分かれる糖ですが、白い砂糖にする段階で除かれる不純物の中にはミネラルなどの身体に必要な成分も含んでいます。なので最近は完全に精製されている白砂糖ではなく、ミネラルなどを含んだ糖が人気を集めています。
その中でもてんさい由来のてんさい糖にはオリゴ糖が含まれているんです。
(可食部100gあたり)
栄養成分 | てんさい糖 | 上白糖 | グラニュー糖 |
エネルギー(kcal) | 382 | 384 | 387 |
タンパク質(mg) | 500 | 0 | 0 |
脂質(mg) | 0 | 0 | 0 |
炭水化物(g) | 97.5 | 99.2 | 100 |
ナトリウム(mg) | 32~78 | 1 | 0 |
カルシウム(mg) | 0~2 | 1 | 0 |
カリウム(mg) | 6~55 | 2 | 0 |
マグネシウム(mg) | 0~0.2 | 0 | 0 |
リン(mg) | 0~6 | 0 | 0 |
鉄(mg) | 0~0.2 | 0 | 0 |
亜鉛(mg) | 0~0.1 | 0 | 0 |
オリゴ糖(mg) | 5000 | 0 | 0 |
てんさい糖に含まれるラフィノースオリゴ糖の効果
上の表のように、てんさい糖には数種類のミネラルや天然のオリゴ糖であるラフィノースオリゴ糖が含まれています。身体に嬉しい効果があるとして注目を集めている『ラフィノースオリゴ糖』は、てんさいから採れる希少なオリゴ糖です。
ラフィノースオリゴ糖は身体に嬉しい効果が沢山報告されているんです!
ビフィズス菌を増やし便秘改善
てんさい糖に含まれるラフィノースオリゴ糖は、胃や小腸で吸収されずに大腸まで届く難消化性のオリゴ糖です。
大腸内で悪玉菌が多くなると便秘になるだけでなく、老化や発がん性物質との関係もあると言われています。
ラフィノースオリゴ糖は大腸で善玉菌であるビフィズス菌を増やし、悪玉菌の代表であるウェルシュ菌などの増殖・定着を防いでくれます。
免疫力アップ
ビフィズス菌には免疫機構を活性化する作用があります。
てんさい糖に含まれるラフィノースオリゴ糖はビフィズス菌を増やしてくれるので、それによりリンパ球が増え免疫力がアップすることが報告されています。
リンパ球は白血球の一部で、細菌やウイルスなどに感染した細胞を攻撃するナチュラルキラー細胞や病原体が体内に入った時に病原体を攻撃するT細胞やB細胞に分類され、人間の身体を健やかに保ってくれる重要な役割をしています。
アトピー性皮膚炎改善
アトピー性皮膚炎の症状が悪化する原因のひとつとして、腸内の常在真菌であるカンジダなどの真菌に対するアレルギーが考えられています。
このカンジダを抑制する目的でラフィノースを投与する研究で、80%近くの対象者にアトピー性皮膚炎の改善に有効であるとの結果が報告されています。
近年では、腸内に生息する様々な菌を『腸内フローラ』『第2の脳』と呼んで様々な研究が進んでいます。
肝機能改善
ラフィノースオリゴ糖は善玉菌であるビフィズス菌を増やし腸内環境を改善します。
近年ではオリゴ糖そのものに身体機能を改善する効果があることも注目されています。
その一つが肝機能の改善効果。
ラットの研究結果で、ラフィノースオリゴ糖の投与で肝臓の働きが改善されたという報告がされています。
熱や酸にも強い
これだけ身体に嬉しい効果がたくさん報告されているラフィノースオリゴ糖。
そんなラフィノースオリゴ糖は加熱安定性・酸性条件下での熱安定性にも優れていることが分かっています。加熱したり酸性の食材と混ぜても成分が壊れない嬉しいオリゴ糖です。
てんさい糖は身体に悪い?てんさい糖の魅力とは。
ミネラルだけじゃなくラフィノースオリゴ糖も含むてんさい糖。身体に良い成分が入っているてんさい糖に白砂糖から変える方も増えています。
でも気になるのが、一部で言われている『てんさい糖は身体に悪い』という説。
これは元々てんさい糖が『身体に良い糖!』だということで一人歩きしてしまい、まるで健康食品のような扱いをされた時に出てきたお話です。
てんさい糖も糖には変わりがないので健康食品と同じように食べれば食べるほど良い!というものではありませんが、てんさい糖は本当に身体に悪いのでしょうか?もう少してんさい糖の魅力について掘り下げていきます。
てんさい糖はGI値が他の甘味料より低い
てんさい糖は他の甘味料より断然GI値が低い糖です。
GI値とは血糖値の上昇スピードを数値化したもので、ブドウ糖を100とした場合の割合を数字にしています。
今や急激な血糖値の上昇は老化につながるし、太りやすくなる!というのは常識になってきています。
日々口にするタンパク質と余分な糖が結びついて、老化物質が生成されてしまいます。
これを糖化といいますが、近年では日本抗加齢医学会などでも糖化が老化と密接に関係していることが報告されていて、GI値が低い食品を摂取することが推奨されています。
(各種甘味料のGI値比較)
てんさい糖 | 上白糖 | グラニュー糖 | 氷砂糖 |
65 | 109 | 110 | 110 |
三温糖 | 黒砂糖 | はちみつ | メープルシロップ |
108 | 99 | 87 | 73 |
上の表は甘味料ごとのGI値を比較した表です。
グラニュー糖のGI値が110、てんさい糖は65。
甘味料と同じくGI値が高いと言われる白米がGI値84なので、炭水化物と比べてもてんさい糖のGI値は低いのです。てんさい糖は甘い物も食べたいけれど、アンチエイジングやダイエットも気になるという方にオススメの甘味料です。
てんさい糖は遺伝子組み換え!?
『てんさいは遺伝子組み換えだから身体に良くない』と言われているのを見かけますが、これは本当なのでしょうか?
実は、日本では遺伝子組み換えのてんさい(甜菜)栽培は認められていません。
てんさい糖は、原料のてんさいから最終の製品まで全て国内で生産・製造されています。
日本メーカーのてんさい糖は遺伝子組み換え原料を使用しているものもありません。なので、『てんさい糖は遺伝子組み換え』は誤った情報です。
てんさい糖はマクロビオティックでも認められている
食を通して健康的な長寿法を説くマクロビオティックでは、基本的に糖分を摂ることはNGとされています。
そんなマクロビオティックで、てんさい糖は食べても良いとされている甘味料なのです。
身体を冷やす食べ物をNGとするマクロビオティックでは、身体を冷やす食べ物=暑い土地で育つもの、身体を温める食べ物=寒い土地で育つものと考えられています。
沖縄などの暖かい地域で育つサトウキビ由来の砂糖は身体を冷やすからNG、北海道やヨーロッパなどの寒冷地で育つてんさい糖は身体を温める物として摂取が認められています。
てんさい糖は糖尿病の人にもおススメ?
沢山の魅力が詰まっているてんさい糖ですが、糖尿病の方もどんどん食べて良いというわけではありません。
ミネラルやラフィノースオリゴ糖も含まれていて、他の甘味料に比べて血糖値も上がりにくいてんさい糖。しかしもちろん糖分も含まれています。白砂糖などをてんさい糖に置き換えるというのは良いですが、何事も適量が大切ですので食事バランスを考えながら上手に日々の食生活に取り入れて下さいね。
お酢にはてんさい糖が合う?
最後に、お酢にはてんさい糖が合うというのがMicoas『飲む、コ酢メ。』開発チームの結論です。
てんさい糖はオリゴ糖やミネラルなどの栄養素が入っているため、甘味だけでなく複雑な味が絡み合ってお酢独特のツンとした刺激を和らげ、お酢の角を取ってまろやかな味に仕上げてくれるのです。
てんさい糖は和食を作る時にも、テリを出して食事をマイルドに仕上げてくれるので、味の面でもミネラルやラフィノースオリゴ糖の成分は良い働きをしてくれます。
編集後記
Micoas『飲む、コ酢メ。』の甘味料にはオリゴ糖と北海道産のてんさい糖だけを使用しています。
てんさい糖のあの茶色にはミネラルをはじめ沢山の魅力が詰まっていて、調べれば調べるほど奥深いてんさい糖。
安心できて美味しい物を・・・てんさい糖はまさに天才糖!
ぜひ日々の生活にもてんさい糖を取り入れてみて下さい。
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