飲むお酢で酢酸菌は摂れる?酢酸菌の入ったお酢は?酢酸と酢酸菌の違いと効果を解説。

健美コラム

納豆やヨーグルトと同じように、健康に良いことが定番になりつつあるお酢。
納豆は納豆菌、ヨーグルトは乳酸菌、そしてお酢は酢酸菌の力で発酵させてできる発酵食品です。

でも、お酢がなぜ健康に良いのか、そもそも酢酸?酢酸菌ってなに?という方も多いはず。
まだまだよく知られていないお酢について、今回は酢酸と酢酸菌の違いや嬉しい健康パワー、そして実は全てのお酢に入っているわけではない酢酸菌について詳しく解説していきます。

酢酸菌とは?

酢酸菌膜
酢酸菌ってどんな物かご存知ですか?

上の画像は、木桶の中で発酵が進んでいる真っ最中の酢酸菌の画像です。
表面にもろもろと浮いている薄黄色のものが酢酸菌。
この酢酸菌の力でゆっくりと時間をかけてお酒⇒お酢へと変化していきます。

意外と知られていないのが、全てのお酢はお酒から出来ているということ。
お酒に酢酸菌(さくさんきん)を加えることで酢酸発酵が行われお酢になります。

そしてお酢の主成分が酢酸。
酢酸菌の力でお酒の成分が酢酸に変化し、この酢酸が沢山のお酢パワーの源になります。
『酢酸菌』は納豆菌や乳酸菌と同じく発酵の源になる菌で、『酢酸』はお酢の主成分なのです。

肥満防止、生活習慣病予防…酢酸のパワーとは


ここからはお酢にどのような効果があるのか具体例を見てみたいと思います。
お酢の健康パワーの源は酢酸を始め、クエン酸などお酢に含まれる有機酸にあります。
そして最近の研究で、酢酸菌自体にも嬉しい効果があることが分かりました。

  • 肥満防止効果
  • 生活習慣病予防効果
  • 血中脂質低下
  • アレルギー予防、改善

健康に気を遣う人にとって嬉しい効果ばかりですよね。
この効果を詳しくご紹介します。

肥満防止効果

酢酸には脂肪が作られること自体を抑えてくれる効果とエネルギー代謝を促進する効果があります。
脂肪を作りにくくし、かつ出来てしまった脂肪も減らしてくれるという肥満防止に嬉しい効果があることがわかっています。

酢酸(お酢)を摂取するとどのような効果が得られるのかを調べた実験では、毎日お酢を飲んだ人と飲んでいない人を比べると、体重・BMI・内臓脂肪・腹囲が低くなったことが分かりました。酢酸にはダイエット効果、メタボリックシンドローム(肥満)防止効果があることが分かっています。

生活習慣病予防

肥満によって引き起こされる2型糖尿病についても、酢酸には効果があると言われています。

酢酸は、血糖値・中性脂肪・血中コレステロール値を下げることがわかっていて、生活習慣病予防にもぴったりです。中性脂肪やコレステロールは血管内にたまってしまう血中脂質。摂りすぎるときちんと体の中で処理ができなくなり、血管が硬くなって詰まりやすい状態になってしまいます。

この動脈硬化が進むと、心筋梗塞や脳出血といった病気のリスクが高まってしまいます。こうした生活習慣病のリスクを下げることが期待できるのも酢酸の効果です。

「酢酸菌」自体にも嬉しい効果

ここまではお酢の主成分である酢酸の効果について見ていきました。
次は酢酸を作る元となる酢酸菌のパワーについてご紹介します。

酢酸菌にも、さまざまな効果があることが期待されています。
そのひとつとして挙げられるのが、アレルギー予防・改善効果です。

たとえば、多くの方が悩まされている花粉症。花粉症には乳酸菌を含むヨーグルトや納豆菌を含む納豆が良いと言われていますが、同じく発酵菌である酢酸菌にも花粉症(アレルギー)予防・改善につながる効果があることが分かりました。

鼻づまりや目のかゆみなどの症状がある花粉症ですが、酢酸菌によって免疫バランスを整え、症状を軽減できる効果があり、花粉症で悩む方にとっても酢酸菌は強い味方であることがわかりました。

お酢に含まれる有機酸パワーも必見!

お酢には主成分となる酢酸だけでなく、その他の有機酸も多く含まれています。
酢酸菌の力でお酒⇒お酢へと変える発酵過程で沢山の有機酸が出来上がるのです。

その一つがクエン酸。

クエン酸はエネルギーの代謝を促進する効果や、抗酸化作用が期待できます。
体を傷つける活性酸素から身を守り、疲れを取り除いてくれる働きもあります。夏バテや疲れで食欲がないという時でも胃液の分泌を促してくれるので食欲増進効果が期待できます。

他にも、リンゴ酢やぶどう酢などの果実酢に多く含まれる「リンゴ酸」には抗炎症作用があり、疲労回復効果も期待できることがわかっています。このようにお酢の健康パワーは主成分である酢酸、発酵菌である酢酸菌、そしてクエン酸などの有機酸に支えられています。

飲むお酢で酢酸菌は摂れない!?


お酢の健康効果の源は、酢酸やクエン酸などの有機酸や酢酸菌にあります。
でも、実は一般的なお酢には酢酸菌がほとんど入っていないのです。

上の画像をご覧下さい。
酢酸菌が入ったままだとお酢に濁りが生まれ、時間が経つと沈殿してしまいます。

なので、一般的に販売されているお酢のほとんどはお酢造りの最後の工程で酢酸菌を取り除くためにろ過をするのです。酢酸菌自体はもちろん食べられるのですが、見た目の問題でろ過の工程が加えられています。

残念ながら全てのお酢に酢酸菌が入っているわけではないのが実情です。
でも、実は酢酸菌を摂れるお酢も存在します。

最近では酢酸菌を取り除かないお酢が販売されていたり、昔ながらの醸造法で半年~数年以上かけてじっくりと発酵させているお酢には、醸造過程で酢酸菌の有効成分がお酢自体に溶け込んでいることが分かっています。

スーパーなどで販売されているお酢の多くは早く大量に作るために、速醸法という大量に空気を送り込む方法で数時間~数日で発酵を終えます。この方法で醸造されたお酢には酢酸菌が溶け込んでいないのですが、昔ながらのじっくりと発酵を進める醸造法ではこの発酵過程の間に溶け込んだ酢酸菌のパワーを得ることができるのです。

酢酸菌を摂りたい方にぴったり!酢酸菌が入ったお酢

酢酸菌の花粉症症状軽減効果を摂り入れたい!という方のために、ここでは酢酸菌が含まれているお酢をいくつかご紹介します。

●蔵付酢酸菌 かすみくろ酢(庄分酢・福岡県)

1711年創業の庄分酢。蔵付酢酸菌が入ったお酢「かすみくろ酢」は、創業時のくろ酢を再現した逸品です。通常は取り除かれる酢酸菌が入っているため濁っていて、香りも一般的なお酢とは異なります。

おすすめの摂り方は、炒めたきのこ類にレモン汁やオリーブオイルと合わせたマリネ液に漬けていただく「きのこのマリネ」や、ヨーグルト・フルーツ・はちみつと合わせたフルーツヨーグルトです。デザートにも料理にも使えるほか、炭酸で割って飲むお酢としてもいただけます。

●濁りりんご酢「細雪」(カネショウ・青森県)

青森県津軽産のりんごを使ったりんご酢です。
昔ながらの静置発酵法でじっくりと作られたりんご酢。酢酸菌を取り除いていないので濁りがあるのが特徴です。

新鮮なりんごをすりおろしてじっくりと発酵させたりんご酢は自然な風味を楽しめます。ソーダ割や水割りで飲むのはもちろん、甘味が少ないため料理にも使えます。

酢酸菌の健康パワーを生活に取り入れよう!

お酒をお酢に変える酢酸菌と、酢酸菌によって作られる酢酸やクエン酸などの有機酸。
お酢の健康パワーはこれらの成分に支えられています。

そのまま飲んだりお料理に使ったりと、ぜひ飲むお酢を生活に取り入れてみてください。
ダイエットにも健康維持にもぴったりのお酢。「飲みやすい」「美味しい」と感じられる、自分好みのお酢探しを楽しんでみて下さいね。

ピックアップ記事

関連記事一覧

  1. この記事へのコメントはありません。